私達は一次元反強磁性スピン系等における量子効果という基礎研究を行っています.この研究から得られた概念や理論的フォーマリズムは様々な物質や現象に応用がふくらみます。御存知のように,21世紀におけるエネルギー・環境問題に関しては,既成の技術の延長のままではかならずしも明るい見通しがあるわけではありません。現在の基礎研究の成果が50年,100年という長い時間スケールでの将来の技術を支えるのです。誰にでも容易に応用法が思いつけるようなわかりきった研究は民間企業等にまかせればよいでしょう。息の長い基礎研究こそが大学における使命です。優れた基礎研究を行い,「日本の科学には独創性が乏しい」という批判を吹き飛ばすことが私達研究者のなすべきことです。未だ知られていない量子効果は将来への夢と希望を与えてくれるものであると私達は信じています。
量子効果の実験データの一例量子効果は様々な形で現れます。化合物磁性体CsFeCl3は11Tで磁化が飽和し,もうこれ以上の磁化は私達が発生できる磁場下では出現しないと言われていました。
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