田嶋 (1人だけです。)
理論系研究室の卒業研究配属人数の上限は、 理論物理3グループは「教員人数+1」、数 学グループは教員人数に等しくなっています。
研究分野は原子核理論です。皆さんの受けた講義のなかで 最も関係の深いのは「量子力学」ですが、これは私の担当授業ではありません。
皆さんの受けた授業のうち私の担当したものは、微分積分演習I、力学II、 微分積分I・II(達成度別クラスのうちのひとつを担当)です。 さらに今学期は現代物理学概論のうち3回を担当しました。
大学院での私の担当講義名は、「量子多体論」と「応用数理特論」です。
「量子多体論」は同種の粒子が沢山ある系の量子力学を扱います。 学部での量子力学は1個の粒子の扱いに話を絞って行われたと思いますが、 多粒子系に目を向けると、そのときには思いもしなかったような世界が広がっている のです(これは今学期の現代物理学概論でもお話ししました)。
また「応用数理特論」では、数値計算法一般の概論を講義しています。 コンピュータを用いた数値計算や数式処理は私の研究の重要な柱です。
私の研究目標は、 原子核を陽子と中性子を構成要素とする有限量子多体系としてとらえる立場から、 原子核の諸性質を計算したり、 その理論的枠組(模型)を改良したり、新しい手法を考え出したりすることです。
「有限系を無限の空間のなかに局在させる」ことが 取り組みがいのある理論的課題だと思っています。
少しでもイメージを湧かせるための材料として、 私の講演スライドのうち二つを下記に挙げておきます。
過去の卒業研究や修士論文をご覧になるのが最もわかりやすいでしょう。
卒業研究のテーマ選びでは、指導教員の専門分野から選ぶことが最も合理的な選択だと思います。 特に、大学院修士課程に進学する人については、 大学院では指導教員の専門分野から研究課題を選ぶので、 それ以外の選択は賢明ではありません。
しかし、卒業研究に限っては、 理論的に面白い課題を見つけたら専門分野以外でもテーマに採用してきました。 特に、「量子力学の講義はぜんぜんわからなかった。 今も量子力学には一片の興味も持っていない」 等と配属された学生が言う場合は、 その学生が心の底から分かると思えるテーマを当の学生に選んでもらい、 それが物理工学科の卒業研究テーマとしておかしくなければそれをやってもらいます。 ただし、研究に要する労力は、こちらのほうが通常の場合より大きいはずです。
卒業研究では、原則として、勉強するだけに終始するのでなく、 たとえ僅かではあっても独自の研究の成果を付け加えてもらいたいと考えていますが、 学生の希望によっては、卒論内容をオリジナルな研究でなく、 全くのreviewにすることも可能です。 即ち、自分の選んだ学問分野について1年間深く勉強し、 そこで学んだことを、学部学生に(あるいは4年生になったばかりのころの自分に) わかるような丁寧でオリジナルな解説として卒業論文の形に書き著すのでも構いません。
ただし、読んだ本の丸写しは卒業論文として認めません。 自分で本を読んだだけでは分からない部分が沢山あるものです。 その部分を理解するのがゼミの目的であり、 卒業論文にはゼミで分かったことがらが丁寧に説明できていていなければいけません。
普通です。 なお、卒業研究のテーマと就職先に関連性はほとんどないように思われます。
良好です。 学部卒同様、修士論文のテーマと就職先に関連性は見られません。 過去の例では、大学院では就職活動に1年生の1月〜2年生の6月の半年間かそれ以上専念し、 2年生の6月〜2年生の2月は修士論文の研究に専念していました。
少なくとも理学系・工学系に限って言うと、 大学院は研究室で選ぶべきもので大学(名)で選ぶべきものではないのですが、 企業への就職には多少有利になる場合もあるかもしれないので、 希望するのは自然なことです。 したがって希望者の意気をそぐようなことはしませんし、むしろ 応援します。即ち、
博士課程というものは、 特に理論物理学の分野に限って言えば、 修士課程修了後、 独力で研究を進められる人材になることを目指して進学するものだと思います。 したがって、独立した研究者になる適性のある人にだけ進学を薦めるつもりです。
本研究室所属の入学者、修了者は博士課程ができて以来2人しかいません。 2名とも、博士号取得後は直ちに民間企業に就職できました。 この2人の指導教員は林明久先生でした。
田嶋については、他大学の助手(今の助教)であったときに 1名だけ実質的な指導担当をしたことがあります。 その人は、博士号を取得し、現在は大学の教員をしています。
ただし、大学教員や国立研究所研究員などの「アカデミックな職」は、 他大学の出身者と自力で競争して就くのがあるべき姿だと思います。 特に理論物理学の分野に限って言えば、 先生の紹介だけでなれるという途はないと思って下さい。
毎週水曜日の昼休み時間の研究室昼食会に出席して下さい。
週1回 卒業研究テーマに関する基礎知識の勉強会をします。 教員からの説明に加えて、文献の輪講も行います。輪講では、 関連した文献を選び、次週のゼミまでに各自で読んで来ます。 ゼミでは当番が説明し、全員で議論します。
週1回、計算機実習を行います。 各人の机上に一台ずつ用意したデスクトップパソコン(OSはLinux)とノートパソコン (OSはWindows)を用いて、
各人のテーマを決めて卒業研究を行います。
毎週 月曜〜金曜は研究室に来て自分の机で研究を行って下さい。 各人の机の上に高性能デスクトップパソコンが用意されています。 質問があれば随時教員に尋ねることができます。
各人に1台、ノートパソコンも用意されています。 ノートパソコンは家に持ち帰って使ってもかまいませんので、 できれば家でも少しは研究をしてみて下さい。
週に1回、ゼミで1週間の勉強内容を発表、説明しなければならなりません。 また、学ぶと同時に、学んだ事項を文章にまとめていきます。この文章が 卒業論文の一部となります。自分のゼミの他に、卒業研究に関係のあるゼ ミ(研究グループの大学院生のゼミなど)があれば、それらにも出席しな ければなりません。
例年は、8月中旬から9月中旬までが休みです。
卒論の進み方が遅ければ、その分、冬休みは短くしなければなりません。
冬休み前に理論系研究室全体で忘年会を開催する年が多いです。
卒業論文の最終修正をして指導教員のOKをもらえたら後は休みです。
3月下旬に卒業式がありますが、 毎年、卒業式より前に研究室の送別会を開催しています。 送別会には新たに配属された卒業研究生も呼んで、 先輩との顔つなぎをしてもらっています。