高エネルギー粒子加速器を用いた素粒子実験

(米国フェルミ国立加速器研究所CDF実験)

 

 国際的な協力の下で大規模な高エネルギー粒子加速器を用いて行われる素粒子実験プロジェクトに参加しています。現在は、米国イリノイ州シカゴ郊外にある フェルミ国立加速器研究所の高エネルギー陽子・反陽子衝突型加速器Tevatronを用いて、未知の素粒子の探索や、様々な素粒子の性質を詳しく調べる実験を行っています。下の左の写真がそのTevatronです。1 TeV (1012 eV) まで加速した陽子と反陽子を正面衝突させることによって、様々な種類の素粒子を生成することができます。写真では大きなリングが2つ見えますが、 奥に見える大きいリングがTevatronで、手前のリングはTevatronに陽子や反陽子を入射するための前段加速器(Main Injector)です。残念ながら、この実験自体は2011年に終了しましたが、データ解析はまだ続いています。 


 下の右の写真は、我々が使っていたCDF (Collider Detector at Fermilab) と呼ばれる巨大な円筒状の実験装置です。10m程の高さと横幅、16m程の奥行きがあります。これは、素粒子の 飛跡を捉えたりエネルギーを測定したりする検出器の集まりで、素粒子の電荷や運動量を測定するために、1.5 Teslaの 超伝導電磁石も組み込まれています。これらの検出器で測定された情報を用いて、未知の素粒子を探索したり、 素粒子の質量や寿命、崩壊モードなどを求めることが出来ます。 1994年にはこの実験で第6番目のクォーク 「トップクォーク」 を発見しました。その他にも 電弱相互作用の精密測定、Higgs粒子の研究、超対称性に関連する新粒子や現象の探索、 量子色力学(QCD)の精密検証、B中間子を用いたCP対称性の破れの測定など、 素粒子物理学の最先端の研究を進めています。

 

 

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角丸四角形: 速報:CDF実験は、トップクォークの発見およびその性質の精密測定を行った功績により、
同じく米国フェルミ研のD0実験と共に、欧州物理学会(EPS)から
「2019年高エネルギー素粒子物理学賞 (2019 High Energy and Particle Physics Prize of the EPS)」
をいただきました。Click

 

この実験には、米国、日本、イタリアをはじめ、世界各国から約500人の研究者や大学院生が参加しています。日本からは、筑波大学、早稲田大学、大阪市立大学、福井大学、京都教育大学、近畿大学、長崎総合科学大学などが参加しています(下の写真)。

 

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