日本物理学会 年会 (福岡工業大学) 1994年3月28日〜31日 講演概要 講演番号 28aX-10 題目 正方メッシュ表現によるハートレーフォック計算 講演者 東大教養 田嶋 直樹、大西 直毅、高原 哲士 title Hartree-Fock Calculation in Cartesian Mesh Representation speakers Naoki TAJIMA, Naoki Onishi, Satoshi Takahara, University of Tokyo, Komaba, Hartree-Fock解を求める一般的な方法は、調和振動子基底などを truncateし て張った部分空間の中で、Hartree-Fockポテンシャル中の一粒子運動の対角化 を自己無撞着になるまで反復することである。この場合、行列の対角化が基底 数の2乗に比例する記憶領域と3乗に比例する計算時間を消費するので、あま り大きな基底を用いることができない。ところが、相互作用がSkyrme力のよう にゼロレンジのときは、 Hartree-Fock場が局所的になるので、対角化によら なくても一粒子状態を求めることが出来る。たとえば、球形核の場合には、動 径方向に関する一変数常微分方程式の固有値問題を(離散化して=1次元メッ シュ表現で)解けばよい。これは20年以上前から実行されている。変形核を扱 う場合には、計算量は激増するが、例えば、Boncheらによる、ベクタ計算機向 きの「正方メッシュ上で表現された波動関数を、虚時間発展法で求める手法」 [Nucl. Phys. A443 (1985) 39] を用いれば、実用的な速度で解を得ること が出来る。本講演では、まず、この手法の特徴を説明する。飽和性がメッシュ 表現に有利に働くこと、形状への偏見がないこと、計算式が簡潔でバグが紛れ 込みにくいこと、メッシュは意外に粗くて良いことが重要である。次に彼らの 計算機プログラム ev8を東大の大型計算機センターのスーパー機に移植したと きの計算速度の向上について報告し、計算例を示す。最後に、この手法で、今 後どのような種類の核物理の研究が可能かを議論する。本研究のための計算機 使用料は、大阪大学核物理学研究センターから補助された。