日本物理学会 第42回年会 (名古屋工業大学) 1987年3月27日〜30日 講演予稿集 第1分冊 p. 23. 講演番号 27aJB-2 題目 高スピン変形偶々核での高j 陽子・中性子系のふるまい 講演者 東大教養 田嶋直樹・大西直毅 我々は、中間結合形式の粒子・回転子模型を使って、変形偶々核の高スピン 状態での侵入軌道(intruder orbital)の粒子配位を調べてきた。回転整列し た核子間の相互作用としては異種核子間のものが重要であるとの考えから、特 に高j軌道の陽子・中性子配位を同時に取り入れることに力点を置いてきた。 具体的応用として、 近年、182Osに発見された特異な崩壊形式を示す高スピ ン・アイソマー 1)の2陽子・2中性子配位による解釈を試みた 2)。 その計算の副産物として、(νi13/2)2 配位であるs-バンドの上に、良 く似た2核子回転整列的構造を持った「励起したs-バンド」が数多く存在す る(し得る)ことが分かった 2)。 またその内には、池田によって主張された ような奇スピンの状態から構成される回転整列バンド 3)もたくさんある。上 述のような、高スピンでしかもイラストから励起した準位にあるアイソマーが 存在するならば、その崩壊に伴って「励起したs-バンド」群の中を網目状に 通る崩壊経路が実現され、そのときのカスケード・ガンマ線からこれらのバン ドについての実験的知見が得られる可能性がある。今回は、この「励起したs- バンド」について以下の点を調べた。 [ 1 ] 2陽子整列配位と2中性子整列配位の混合の様子。 [ 2 ] 芯の固有座標系での粒子系波動関数の特徴(K-量子数の分布等)。 [ 3 ] 「励起したs-バンド」内・間のE2・M1遷移の特徴。 1) J. Pedersen, et al., Phys. Rev. Lett. 54, 306 (1985) 2) N. Tajima and N. Onishi, Phys. Lett. B179, 187 (1986) 3) A. Ikeda, Nucl. Phys. A452, 423 (1986)