以下は講演概要の latex source file です。
% jpsm10sp.tex 物理学会2010春 講演予稿 : 2010/1/21
%
% 2010/1/21 created by N. Tajima from scratch
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\begin{document}
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\pagestyle{empty}
\newcommand{\refer}{\ref}

\noindent
{\Large 21pBC-1}
\hspace*{30mm}
{\LARGE Strutinsky法とKruppaの処方}

\vspace{2mm}

\noindent
\hspace*{16mm}
{\Large
福井大工,九大院理$^{\rm A}$,杏林大医$^{\rm B}$
\hfill
田嶋直樹,清水良文$^{\rm A}$,高原哲士$^{\rm B}$
}

\noindent
\hspace*{1mm}
{\large
The Strutinsky method and the prescription of Kruppa
}

\noindent
\hspace*{16mm}
{\normalsize
Univ. of Fukui,
Kyushu Univ.$^{\rm A}$, Kyorin Univ.$^{\rm B}$
\hfill
N.~Tajima, Y.R.~Shimizu$^{\rm A}$, and S.~Takahara$^{\rm B}$
}

\vspace{\baselineskip}

{\Large
% \baselineskip=\baselineskipTaj
\baselineskip=0.700cm

殻補正法で用いられるストラチンスキーの平滑化法とは、粒子が占拠している一粒子
準位のエネルギーの和の平均的挙動を求めるための手法である。(殻補正法と
は、この平均的挙動を巨視的な模型のそれで置き換えることである。)この平
滑化法は、特別な平滑化関数と一粒子準位密度とのエネルギーについての畳み
込み積分として平均的準位密度を与えるものである。この平滑化関数は、主殻
間隔($\hbar \omega \simeq 41 A^{-1/3}$ MeV) 程度の幅を持つガウシアンに
多項式を乗じた形の関数であり、その多項式部分は、入力の一粒子準位密度が
低次の多項式である場合に結果の出力が入力に一致する(低次の多項式はそれ
以上平滑化されない)という条件から定める。

我々は、エネルギーから時間へとフーリエ変換して見れば、この平滑化法は、
(長時間成分をカットする)ローパス・フィルターを乗じることに他ならないこと、
そして、平滑化関数の多項式部分は、フィルターの短時間部分の歪みを最小
にするものでもあることに気づいた。
そしてこのローパス・フィルターという新しい観点に立って、下記のような
事実を説明することができた。

$\bullet$
ニルソン模型での平滑化関数の幅に対するプラトーの発達のメカニズム。

$\bullet$
平滑化の幅と平滑化関数の多項式部分の次数の簡単な近似的関係。

次に、ストラチンスキーの平滑化法の抱える問題として、
ウッズ・サクソン・ポテンシャルのような連続スペクトルを持つポテンシャルでは
平滑化の結果が有限にならないことがある。
これは、正のエネルギーでの無限大の準位密度が平滑化により負のエネルギー領域にも
影響を及ぼすからである。
これを回避する処方として自由粒子の準位密度を差し引くというものがある。
しかし、これは無限大から無限大を引いて有限の結果を得ることであるため、
極限の取り方の工夫、および、取り方に依存しないことの確認が必要である。
球対称な系については、散乱のフェーズ・シフトのエネルギー微分として表すことが
1930年台から行われている。
共鳴状態の準位密度をとるのはこれと同じことである。
変形した系については、散乱や共鳴準位の計算は難しいが、
有限の調和振動子基底での結果の差として表せば、巨大な基底を用いずとも
速やかに収束するというクルッパの処方がある
(Phys.\ Lett.\ {\bf B431}, 237 (1998))。
本講演では、このクルッパの処方(というよりは、殻補正法において自由粒子の準位密度を
差し引くという処方)の有望性を論じる。

\vspace*{3mm}

\noindent

} % large
\end{document}