以下は講演概要の latex source file です。
% jpsm07sp.tex 物理学会2007春 講演予稿 : 2007/1/18
%
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\newcommand{\refer}{\ref}

\noindent
{\Large 26aSB-13}
\hfill
{\LARGE 
対相関の中性子暈抑制効果と核変形
}

\vspace{2mm}

\noindent
\hspace*{16mm}
{\Large
福井大学工学部物理工学科\hfill
田嶋直樹
}

\noindent
\hspace*{16mm}
{\large
Pairing anti-neutron-halo effect and nuclear deformation
}

\noindent
\hspace*{16mm}
{\normalsize
Department of Applied Physics, Fukui University
\hfill
Naoki Tajima
}

\vspace{\baselineskip}

{\Large

% \baselineskip=\baselineskipTaj
\baselineskip=0.660cm

昨年秋の分科会に申し込んだ後、取り消した講演の内容を
半年遅れで発表いたします。この原稿は半年前の概要集と同内容です。

Skyrme相互作用に対するHFB (Hartree-Fock-Bogoliuibov)方程式の解を正準
基底HFB法コードを用いて求めることで、中性ドリップ線近傍の核における中
性子スキンや中性子暈(neutron halo)の発達が、対相関の中性子暈抑制効果
(pairing anti-halo effect)と核の形状変形の効果により、どのように影響さ
れるかを論じる。

正準基底HFB法[1]は、連続状態(一体平均場の連続スペクトル部分空間に属する
状態)が対相関を介して多体の基底状態に混入する状況をきわめて効率よ
く記述することができる。特に、3次元正方メッシュ表現の正準基底HFB法の
計算コードは、核の表面形状の変形と連続状態の対相関への寄与の両方を
同時に効率的に考慮できる手法として最適なものである。

正準基底HFB法では、HFB解をBCS型の波動関数で表す。
BCS状態を構成する各一粒子軌道(HFB解の正準基底と呼ばれる)
は、フェルミ準位が負である限り、すべて局在している。
このことは、Bogoliubov準粒子の状態が、粒子的励起であれ空孔的励起であれ、
励起エネルギーの小さいものを除いて非局在化しているのと対照的である。
準粒子は励起を記述するため基底状態の記述には不要な情報を抱えこんでいるの
である。

正準基底の局在化の仕組みは、
正準基底法の立場から眺めたときに初めて物理的描像で理解できるようになる。
$H$ を平均場、$\tilde{H}$を対相関場と
すれば、占拠確率が$v_i^2$である正準基底の状態依存Hamiltonianは
$H_i = v_i^2 H + u_i v_i \tilde{H}$ となる($u_i^2 + v_i^2 = 1$)。
このため、フェルミ準位よりずっと上の軌道は、$u_i v_i \gg v_i^2$ であるため、
平均場より対相関場に強く影響される。対相関場のポテンシャルは
対相関ギャップ程度の深さ(1〜2MeV)しかないが、運動エネルギー項も
小さいため、核子数よりはるかに多くの軌道をポテンシャルの中に
閉じ込めることができるのである。

このことより、対相関場が強くなるほど、波動関数の局在性が強くなることが
理解できりる。
逆に、対相関場が全くなければ、$H_i$ は $H$に数因子をかけただけのものに
なるため、エネルギー(平均場の期待値)が下方からゼロに近付くと、波動関数は
暈のように大きく広がることになる。

\vspace*{\baselineskip}

\noindent
[1] N.~Tajima, Phys.\ Rev.\ C \textbf{69}, 034305 (2004), and
references therein.

} % large
\end{document}