以下は latex file です。
%==============================================================================
% Title page of the report of JAERI workshop held on 15 Nov 93.
% 16/Nov/93
\documentstyle[12pt]{article}
\topmargin=-1.2cm
\oddsidemargin=0cm   % side margin for odd-page-number page
\evensidemargin=0cm  %                 even
\textheight=23cm
\textwidth=16cm % 76 characters / line

\begin{document}
\baselineskip=0.6cm  % 28 lines / page
\pagestyle{empty}

%\begin{flushright}
%1993年11月15日、於原研
%\end{flushright}

\begin{center}
{\Huge 奇々核の指標逆転現象}
\end{center}

\begin{flushright}
東大教養  田嶋 直樹
\end{flushright}

我々は、粒子回転子模型を用いて、$A \sim 130$領域の奇々核に見られるエネ
ルギー準位の指標量子数依存性逆転現象(指標逆転現象と略す)の再現を試みた。
指標逆転現象の要因と目されるもののうちで、特に重要と思われるものに、非
軸対称変形自由度と陽子準粒子・中性子準粒子間の残留相互作用がある。
前者は、(回転軸をある変形の主軸に固定する)クランキング模型の描像では、
所謂 positive-γ 変形の状態で指標逆転現象を起こしうる。
しかし、通常仮定され、また、物理的にもっともな、「渦なし流体運動の慣性
能率」を仮定すると、反対のnegative-γ変形が起こってしまう。
この困難を回避するひとつの方法は、人為的にx軸の回りの回転に対する慣性
能率と、y軸の回りの回転に対する慣性能率を交換する、所謂、γ-reversed慣
性能率を用いて、positive-γ変形を実現させることであるが、やはり、自然
な「渦無し流体運動の慣性能率」で実験が再現できることが望ましい。
後者に関しては、浜本によるQQ力を用いた計算で、「通常仮定される強度のQQ
引力は指標逆転を起こすには一桁弱い」ことが結論された。
ところが最近、SemmesとRagnarssonは、QQ力よりは現実的なゼロレンジ力を用
いて、それほど強くない強度で、奇々核の指標逆転を再現することに成功した。
本研究では、この、SemmesとRagnarssonの残留相互作用を用いる方法を採用し、
パラメータの決定法を改良して、実験結果のよりよい再現を目指したものであ
る。
なお、計算に用いた奇々核用の強結合形式の粒子・回転子模型は、Semmes、
Ragnarsson両氏から提供されたものである。
最初のページの図は、negative-γ、positive-γ回転を説明するイラストである。矢印↑が回転軸を表している。次のページの図は、陽子・中性子の軌道の重なりを示すために描いた図である。その次のぺージでは、模型の説明とパラメータの決定方法が記述してある。このパラメータ決定法が、我々の計算がSemmesとRagnarssonの計算に優る点であるといっても良い。以降のページには、計算結果が、実験値と比較されている。

我々の結論をまとめると以下の様になる。

\noindent
1.
$\left\{   
    \begin{array}{c}
        \mbox{渦無し流体運動の慣性能率を持つγ変形} \\
        \mbox{陽子・中性子間のゼロ・レンジ相互作用}
    \end{array} 
\right\}$
の導入によって、\\
$^{120,124}$CSの
$\left\{
    \begin{array}{c}
        \mbox{エネルギー準位の指標分裂} \\
        \mbox{B(M1; $I \rightarrow I-1$)/B(E2; $I \rightarrow I-2$)}
    \end{array}
\right\}$
が定量的に良く再現できることが示された。

\noindent
2.
我々の計算と実験とでは、指標分裂の符号が\\
$\left\{
    \begin{array}{l}
        \mbox{$_{55}$Csに関しては一致する。} \\
        \mbox{$_{57}$Laに関しては反対になる。}
    \end{array}
\right\}$
しかし、\underline{我々の模型では}、$_{55}$Csと$_{57}$Laとの間で指標分
裂の符号が反転するような構造上の大きな変化が起こりうるとは考えにくい。
この相違は、我々の模型の不充分さを示すのかもしれないが、あるいは、実験
的なスピンの推定において「指標分裂は正常符号であるべし」と言う必ずしも
正しくない仮定がなされたことに因るのかもしれない。
$^{124}$Cs において為されたような精密な実験的スピン同定が望まれる。

\end{document}