Proceedings of the symposium on "Structure of Rotating Nuclei",
原子核研究 33 (1988) No.1、p.93.
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The effects of γ-softness on the lives of high-K isomers
Naoki Tajima and Naoki Onishi
College of General Education, University of Tokyo
Abstract: The shortness of the lifetime of the IP=10+ high-K
isomer is explained employing a particle-plus-γ-soft-rotor
model. When the γ-softness of the rotor is fixed so that
the empirical excitation energy of the IP=2+ γ-vibrational
state is reproduced, the calculated lifetime of the isomer
is in quantitative agreement with the observed one.
1.はじめに
軸対称に変形した原子核の電磁遷移では、K−量子数の変化がふく射の多重
極性を超えられないというK−選択則が良く成り立つ。実験的にも、K禁止遷
移では、遷移の前後でのK量子数の変化が許される値より1増すごとに、換算
遷移確率が約2桁小さくなることが知られている1)。
ところが、最近になって、Kアイソマーにしては、異常に早く崩壊する状態
が、Osのアイソトープのいくつかに、発見された2)3)。ここでは、その内の
184OsのIP=10+ のアイソマー4)5)について調べる*)。
このアイソマーの内部配位は、中性子のi13/2 軌道(9/2[624]、11/2[615])
の1粒子・1空孔励起と考えられている。i13/2 軌道は intruder 軌道であ
り、パリティ−の違いから、エネルギーの近い周囲の準位とは混ざらない。従っ
て良い近似で、粒子状態をi13/2 軌道の粒子配位に限定することができる。
状態空間が、手頃な大きさに留まるという点で、粒子・回転子模型による計算
に好都合な状態と言える。
この状態はgバンドの 8+、10+ 状態へ 20 ns の半減期で崩壊するが、これ
はK選択則の予想よりはるかに短い。この短寿命化(=K選択則の破れ)は、
核変形の軸対称からのずれの自由度(γ)に起因すると考えられる。実際、比
較のため、陽子数の2個少ない 182Wで、これと同じ内部配位を持つと考えら
れるIP=10+のアイソマーの半減期を見ると、1.4 μsもある6)。2つの核の
違いは、それぞれのγソフトさの差によるとして理解できる。γソフトさの指
標として、γバンドの 2+ 状態の励起エネルギーを、gバンドの 2+ 状態の励
起エネルギーで割った値を計算してみると、182Wの場合は約 12 であるのに、
184Osの場合は約 8 と小さい。
そこで、γ自由度を取り入れることで、アイソマーの短い寿命の再現を試み
た。使用する模型は、γソフトな液滴模型( Bohr model )7)8)を、粒子・回
転子模型の回転子として用いるものである9)。状態空間は、実験室系で記述さ
れ、i13/2 軌道にある中性子群、および、残りの全軌道の粒子の自由度を表
す芯の、2つの部分系の固有状態の直積を基底として張られる
9)10)11)12)13)14)。これはいわゆる弱結合基底であるが、粒子配位は全て
(i13/2 軌道に偶数個の核子を入れる全配位)取り入れるので、弱結合の仮
定をしている訳ではない。利点は、芯の、回転以外の運動(γ振動、γ変形)
をも量子力学的に取り入れるのに適していることである。
2.計算結果
我々は、まず、模型のもつ種々のパラメタとγポテンシャルを、184Osの
エネルギー準位(gバンド、γバンド・ヘッド、10+ アイソマー)を良く再現
するように定めた。γポテンシャルに、Fig. 1 の�兇鮖箸Δ函▽奪丱鵐匹領�
起エネルギーが実験に合うことが分かった(Fig. 2)。次に、こうして固定し
たパラメタで、アイソマーからの電磁遷移(E2、M1)を計算した(Fig. 3)。
実測された半減期 20 ns と、計算値の 12 ns とは、大変良く一致している。
このことから、(γバンドの)エネルギー準位から決めたγポテンシャルと、
電磁的な性質から決めたそれとが、良く一致することがわかる。Table 1 には、
芯(回転子)がγソフトになるにつれて、換算遷移確率が、増加していく様子
を示した。
Fig. 4 には、10+ アイソマーと崩壊先の状態のひとつであるgバンドの
10+ 状態のK量子数の分布を、γソフトさを違えたいくつかの場合について示
した。軸対称剛体回転子を使った場合は、K量子数分布は指数関数的に減少し
ている**)。これは、コリオリ力の摂動によって粒子系のK量子数が混合する
ためだと理解できる。(軸対称の場合であっても、K量子数が0でないためバ
ンド・ヘッドでも全角運動量が0でなく、コリオリ力による内部励起が起こっ
てK量子数は完全には良い量子数でなくなる。) γソフトな芯を使った場合
には、粒子運動とγ変形・γ振動との結合によって、コリオリ摂動的なK量子
数混合とは傾向の異なる、より広がったK量子数分布が実現されている。電磁
遷移はこのK分布の広い裾の部分を通じて行われるので、軸対称剛体芯を仮定
したときほど阻害されない。
3.まとめ
粒子・回転子模型で、回転子にγソフトな液滴模型を用いることによって、
K量子数の混合に起因するKアイソマーの短寿命化を定量的に再現することが
できた。このときに必要なγポテンシャルの柔らかさは、γバンドの励起エネ
ルギーを再現するのに必要なものと同じもので良いことが分かった。したがっ
て、γバンドの励起エネルギーから、Kアイソマーの崩壊の早まり方を予測で
きる可能性がある。また、こうして決められたγソフトさを、その他の物理量
の計算に利用することができるであろう。
今後、この定量的一致が、他の核の状態( 182Wの 10+ アイソマー等)に
ついても成り立つかどうかを確かめる予定である。
*)他に、182OsのIP=25+アイソマーも興味深いアイソマーである。これ
は、i13/2 軌道の2中性子とh11/2 軌道の2陽子および non-intruder 軌道
の2中性子による6準粒子配位を持っていると予想されている5) が、2中性
子回転整列バンド(sバンド)へわずか 100 ns の半減期で崩壊して行く。こ
の状態では、回転整列した核子による芯のγ変形・γ振動誘起効果や、離対陽
子・中性子間の残留相互作用の効果などの諸要因が複雑に絡んでいると思われ
る9)。この報告では、γ自由度に注意を集中するために、i13/2 軌道のみが
関与すると考えられる、より簡単な粒子配位を持つ 10+ アイソマーをとりあ
げた。
**)この計算では、Kが1変化する毎に確率が約1桁減っているが、この減
少率は、K禁止遷移についての経験則から結論される2桁の減少より小さい。
これは、この計算で扱った状態が、jの混合が非常に小さく、コリオリ摂動を
受けやすい、intruder 配位であるという特殊性が効いているためであろう。
References
1) K.E. Loebner, Phys. Lett. B26 (1968), 369.
2) J. Pedersen, B.B. Back, S.Bjornholm, J.Borggreen, M. Diebel,
G. Sletten, F. Azgui et al., Phys. Rev. Lett. 54 (1985), 306.
3) J. Pedersen et al., Z. Phys. A321 (l985), 567.
4) J. Pedersen et al., private communication.
5) Tord Bengtsson, private communication.
6) B.D. Jeltema, F.M. Bernthal, T.L. Khoo, and C.L. Dors,
Nucl. Phys. A280 (1977), 21.
7) I. Hamamoto and N. Onishi, Phys. Lett. B150 (1985), 6.
8) N. Onishi, I. Hamamoto, S. Aberg, and A. Ikeda,
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9) N. Tajima and N. Onishi, Phys. Lett. B179 (1986), 187.
10) P.J. Evans and S.M. Harris, Nucl. Phys. A277 (1977), 109.
11) A. Ikeda, M. Kitajima, M. Miyawaki, and N. Onishi,
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